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映画「ソラニン」

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サブカル青春映画という枠組みでは、僕の大好物なんですが、感想を言ってしまうと、割と残念な結果でした。


予告編を見ると種田はこんなにかっこよくないとか、芽衣子は宮崎あおいよりもっとむすくれたブスがいいとか、そういう単純な感想を持ちますけど、実際のところそんなのは表層で、映画として未完成だったり、原作を読み解けてない感じの方がずっと深刻だった。映画監督はこれが初作品らしいね。優秀な写真家が、優秀な映像を撮れないのと一緒で、CMディレクターとして優秀だとしても、映画を支配する時間はまったく別なんだと思います。


音楽をモチーフにしている映画なのに音の扱いが雑だったり、シーンの繋ぎ方が不自然すぎたり、テーマになるようなことを平気でそのままモノローグで言っちゃったり。カタルシスになるはずのライブシーンですら、監督が表現したいものがまとまってなくていろんなものに引き裂かれちゃってる。


ちょくちょく入ってくる「感動させよう演出」もうっとうしかった。これって誰かのために何かをする話じゃなくて、自分(芽衣子)が自分を吹っ切るって言うとてもパーソナルな心情の変化の物語だと思うんです。漫画と映画は違うメディアだから、表現方法は別モノになっていいけど、核になるテーマは絶対に変えちゃいけないと思うんだよな。


それに引き換え、ベース役のサンボマスターがえらいキュートでよかったなぁ。彼だけが生きているキャラクターなんだなと思えた。良かったのは実際それくらいのものです。


愛される原作を持つ映画化の難しさを再認識しました。


あとそうだ。一個思ったことがあった。


原作にも言えることなんだけど、この話の登場人物たちは大した行動もしてないのに安易に会社を辞めたり自分探しに甘えていて、見ていてイライラするって言う感想を持つ、大人(30代以上)が多いと思うんです。でも多分、自分達が20歳の頃置かれていた状況と、2010年に20歳でいる人たちとでは、まったく別の状況になってると思うんだよね。


夢を追いかけることと、サラリーマン(OL)との天秤が、1995年卒だったら10:90ぐらいの勝率だったとして、2010年はそもそも合計が100じゃなくて、5:20ぐらいのイメージ。だから彼らにのしかかっている不安は、夢を選ぶことでもなく、夢を選ばないことでもなく、何者でもない残りの75が不安そのものなんだと思います。そこのリアリティを履き違えると、行き詰った若者としての前提条件が変わってしまうので、物語に入っていけない気がします。