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たかなべが、ゲームやそれ以外の関心事を紹介します。

  ラヴフール(www.lovefool.jp) 

1997-09-01から1ヶ月間の記事一覧

七夕

へたくそなスナップみたいに、君の笑顔はいつもはみ出してた。銀色の鉄塔の下で抱き合い、小さな魔法を授けてくれる。晴れた丘の上で渓の白い尻を撫でる。夏の草いきれ、脱ぎ捨てた彼女の白い下着に這っているフタホシてんとう。背骨の窪みにたまった汗のし…

スイミング

白く長い2本の足が私の前でひらひらと揺れている。私は青いプラスチック越しにその長いその尾ひれに手を伸ばす。自分の心臓が、水の中で正確なリズムを刻むのを感じる。 由希子先生の後について水に体を沈めていると、このまま温度の保たれた水の中で、言葉…

ビーボくん

彼がいつから僕の家にいるのか思い出すことができない。彼の名前がビーボくんだってことも、彼の口から聞いた割には、最初から知っていたような感じに響いたもんだ。学校から帰ると、大抵ビーボくんは僕の部屋の真ん中で何かをしている。昨日買ってもらった…

マーマレイド

死んでしまったら、お花畑とか光とか透き通った階段が見えるもんだとばかり思っていた。嘘だった。今の今までいた世界がカーボン・コピーみたく、そのままそこにもう一つあるだけだった。おそらくこれが僕の望んだ天国の姿そのものなのだろう。ちょっとだけ…

惑星喫茶

らしくないんだ。触覚器真っ赤にはらしてさ、熱い息ふんふん吹き出しながら 「あなたとは住む星が違うのよ」 バシーン!だってさ。たまんないよ。 だいたいそんなこと最初っからわかってたことだろ? 初めて会った夜、何万光年離れていたって私たちはずっと…

コワントロウ

白く上る煙が、僕の前でスパイラルを描いた。君の透き通ったそのドレス。僕はがっかりしてその目を閉じた。 「どうしていつも嘘を?」 「嘘じゃない」 「あまりに見え透いてる、そのドレスみたい」 「つまらないわ」 「本当のことを言えだなんて言わない。で…

グラウンドの影

11月のグラウンドの、白く輝く砂の上で君を見た。もう会えなかったはずなのに、小さな日傘を片手に、真っ白な袖のないワンピースを着て、2本の足でゆっくりと歩いていた。僕の時計は5月で止まったままだった。読みかけの本を中途半端に構えたまま、遠くを歩…