lovefool

たかなべが、ゲームやそれ以外の関心事を紹介します。

  ラヴフール(www.lovefool.jp) 

takanabe2010-03-24



幻冬社の社長だったか、角川春樹だったか忘れたけど、余命をあと20年だと決めていて、その中で達成したいことをやりきるんだって。20年て長いようで全然そんなことなくて「例えば桜はあと20回しか見られないってことだよ」って言われた時、そのリアリティがなんかちょっと理解できた気がした。


社会に出て間もない頃は「20年」なんて無限に感じる途方もない時間だったけど、40間近の今は、あー、現役でいられるかもしれない「ぎりぎりの残り時間」なんだなってことがわかる。正午を過ぎたばかりの太陽のように感じられる。そもそも残りが本当に20年あるかどうか保障されてないしね。15年かもしれないし、3年かもしれない。40年ある場合もあるかもしれない。仕事のことで言えば、1年掛かるプロジェクトは20年であと20個しか出来ない。2年掛かったら10個。ホントにわずかなものだ。


桜は、毎年いろんな想いと共に咲き、あっという間に散っていく。2年前、僕は桜が満開の病院に入院していた。去年は高熱と貧血で虫の息になりながら通院し、同じ桜を見ていた。今年は治療を終えて毎月の通院を終えられるかもしれないタイミングでまた同じ桜を見ることになる。それだけで3回。その間に完パケることができたプロジェクトはたった2つだった。家族や友人はそれぞれの人生のステージを踏みしめて、桜の華やかさと切なさにより深い彩りを加えていく。はらはらと舞い落ちる花びらが川面を白く埋めるようにして、流れる先はたぶん海なんだろうと想像する。そしてすぐにまた夏がやってくる。来年、僕はどこでどんな桜を見るだろう。見られるかな。


3月頃になると貼られるポスターやCMに出てくる満開の桜を、これは去年より前に咲いた桜なんだなって思いながら見ると、けっこう印象が変わって見えるね。365日の重さを思い知ると言うか。昔の自分を桜越しに見ると言うか。