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たかなべが、ゲームやそれ以外の関心事を紹介します。

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デリカシー

takanabe2010-01-27



住むなら静かなところがいい。眠るのは、真っ暗で、音がない部屋がいい。


そう思って37年間を生きてきたけど、よく考えると、静かなところはそれほど好きじゃない。そもそも、音がない=静か、じゃない。


アイディアを練るときは、ある程度、いろんな雑音が欲しい。誰が何を話していても気にならない。音を立てて鼻をかんでもいいし、赤ちゃんが泣いたっていいし、音楽が掛かっててもいいし、むしろ掛かってて欲しい。汚いところより、清潔なところがいいけど、無菌じゃなきゃ嫌か?って言うとちょっと違う。そういう感覚。


掘り下げていくと、うるさく感じる音が嫌なだけなんだ。ドアがバタン!としまったり、履きなれないヒールがコツコツと階段を鳴らしたり、ポストに分厚い封筒がねじ込まれる音、ガムをくちゃくちゃと噛んだり、いらいらした感じにたたかれるキーボードの音、ベランダが体重できしむ音、プリンターのモーターが回る音、携帯電話のボタンをプチプチ押す音は、本当に嫌だ。聞かせるためのデザインがされていない音、というジャンルなのかも。


学生のころ、教室でラジカセを鳴らしていて、CDを換えたくなると、ボリュームをゆっくりフェードさせてから停止して、新しいディスクと交換していた。バツン!と音が途切れるのが暴力的に「うるさく」感じるから。


音について気をつけているなーって人は、見た目のことを気にしている人よりずっとずっと少ない気がする。自分が出している音を気にし始めると、結果としてそれぞれの所作も磨かれて、無駄な力も削がれていく。結局のところデリカシーに包括されるさまざまなイライラは「磨けるはずのものが磨かれれずに放って置かれているイライラ」なんだろうな。