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たかなべが、ゲームやそれ以外の関心事を紹介します。

  ラヴフール(www.lovefool.jp) 

映画「猿の惑星 PLANET OF THE APES」

ティムバートンの猿の惑星をDVDで見ました。リメイクじゃなくてリイマジネーションだ、とか言うので、なんなんだよ、と思ったけど、原作をなぞっただけじゃなくて新しい解釈が入ったよってことをいいたいみたい。見る前に前作をふまえたいくつか課題があった。


・『猿の惑星』という名作映画はみんな知っているので、猿が出てきてもびびらない、どうする?
・ラストのドンデン返しがあの映画の印象のほとんどだった気がするけど、どこでどう驚かす?
・2001年というタイミングを選んで作る意味は?


まー、そんなとこだ。で、見ました。前半が眠かった。CMを見るととにかく猿が少年ジャンプのアクション漫画のように飛び掛ってきて、ギー!って睨んで、みたいな動的な印象があったんだけど、アクションは全体を通して控えめに思えた。前半は猿の惑星に不時着しました→そこは猿の文明がこんな風に栄えた星でしたって説明で、それがたるかった。もっと『北斗の拳』みたいな世紀末的絶望感とか、ありえないぐらい派手な暴力を勝手に期待してた分、地味に感じてしまった。あー、猿ですねって感じ。特殊メイクがすごいな、ミヤケイッセイみたいなプリーツの衣装がかっこいいな、そういう印象。でも後半が面白かった。前作の自由の女神像にあたる「絶望」ががーんとやってきて、うわまじどうしようと思ったら、もうそっから先はティムバートン節のギャグ路線に。ここがリイマジネーションなのかな。「絶望」を「希望」に変えていく為の彼の突飛なセンスが、底抜けでおっかしかった。このままじゃ終わらないよって、いたずらっ子が舌を出している感じがした。そこはもっとボリュームを裂いてよかったように思う。もっとセンスを炸裂して欲しかった。といっても全体の半分はそれに費やしているわけだから、相当な自信だったと思うけどね。ボーナスディスクでメイキングなどの裏方を見ることが出来た。あそこのシーンがもっとこうだったら良かったのに、とか、こういうシーンを入れて欲しかったよなって、最初は思っていたけど、やっぱり裏方を見てしまうと、努力と忍耐の積み重ねの上に監督の妥協のなさが乗っかって初めてフィルムができるんだなーってことが伝わってきて、何を思っていたのか忘れてしまいそうになった。アウトプットがどうであれ、真剣じゃない現場なんてひとつもないんだな。そういうことを思いました。あと猿の惑星で囚われていた人間の美女が胸の谷間やふとももをあらわにしているだけで、ストーリー上、何の役にも立ってないところが印象的でした。『ドリヴン』の時もストーリー上、何がしたい人なのか訳のわからないセクシーちゃんを演じていた彼女だけど、仕事はもう少し選んだほうがいいような気がします。

映画「ターンエーガンダム 地球光」

ターンAガンダム I 地球光 [DVD]

ターンAガンダム I 地球光 [DVD]

映画館でやってるガンダムの新作を見てきました。前編と後編に分かれていて、しかも同じ日には両方見ることが出来ないと言う変則的な上映方式になってます。お金も倍掛かるし、めんどくさいです。僕はテレビ版のDVDを全部持っているので、映画館で見る理由としては編集によって、どうテーマが絞り込まれたかってところを見に行ったつもり。富野監督が生まれて初めて「やった」って気になったっていう発言をしているところも併せて気になります。見た映画館は、舞浜のイクスピアリ。お店やレストランや映画館が入り混じった、自分でデートの構成を決められない人たちが集うようなそういう場所です。こういう場所に来ると僕は非常にげんなりします。与えられた中で楽しんでくださいって言われているみたいだから。


映画はものすごく駆け足だった。主人公たちが予想もしなかった宇宙へ旅立つことになるまでの、地球での出来事を描いている。テレビ版で言う第2話までの、ガンダム登場シーンまで、15分ぐらいしか使わなかったような気がする。だから、主人公が誰(実際には月から派遣された使者)でどういういきさつで地球にいるのか、なんでロボットを操縦できるのか、そういうことは分かりやすくは説明をしてくれない。昔のアメリカみたいなのどかな風景だけど、なんか部分部分が未来っぽい、不思議な設定なんだよって、そういう雰囲気で攻めてくる感じ。それはいいとしてもウィルゲムという宇宙船が発掘されて空を飛ぶまでにあった、感動のエピソードも丸々削られていたのはよくわかんない。月のお姫様とそっくりな女の子がいて、着せ替えごっこして入れ替わったら、お互いの立場や気持ちがよくわかったよ、文化は違ってもみんなでなかよくやろうよ、ってそういう話だけで2時間20分が終わったのような印象。それを軸にするんだったら、お姫様が兵隊の病院で苦労する話しなんて削れるはずないんだけどなー。


ターンエーガンダムガンダムと言う名前のついたシリーズアニメのひとつだ。それなのにロボットが今までの戦争兵器としてじゃなく日常の中の異物として不思議と溶け合っている感じが新しい部分だと思っている。悪く言えば、ロボットが要らなかったロボットアニメと言うかね。例えて言うと公園でフツーに話していた人たちのお話を書いているんだけど、そこに突然使い方の分からない未来の道具が落ちていたら、どうやって生活になじませる?って言うような話。それが人をさらうUFOだったり、敵対するアリゲーターだったりすれば、物語はカンタンに必然の方向に歩き出すんだけど、ただの道具ですからね。しかも話し合いをまとめたい時に、喧嘩の道具が降ってきたみたいなそういう感じ。この映画でもガンダムの立場は相当あいまいだ。遺跡の中からドーン!って出てきて、その性能を生かしまくるどころか、月の人との文明差を埋めるための交渉材料になったってだけ。別にロボットじゃなくていい。冷凍睡眠刑にあっていた荒くれものの操縦するロボットと戦ったりもしていたけど、テーマに沿ったような大きな活躍するシーンはなかった。そのシーンが2時間20分の中でどうしても必要だったかどうかはよくわかんない。失われた前時代のことを知っていて「ガンダム!」って名前で白いロボットのことを呼ぶ人が物語の中でその荒くれものしかいなかったからってだけのような気がする。かなり微妙です。終わり方も前半だけあって歯切れが悪い。エンドテロップ中も画面を小さくして、核爆弾を預かってしまうエピソードを流していた。どうせ長いんだから、ちゃんと本編に組み込んで欲しかったと思う。ジャッキーチェンのNG集じゃないんだから。


僕の感想としては新編集で生まれた新しい部分とか、新しい視点を感じることは出来なかった。でもガンダムに特別興味がなくて、でも最新作のターンエーガンダムってなんかいい話なんでしょ?ってぐらいの知識がある人が、全体感だけを数時間でつかむにはありかもしれない映画だと思った。後編を見たら印象が変わるかもしれないので、来週行ってみようと思ってます。もう一回前編を見たくなるようなつくりだったら素敵だよね。